老人ホームの入居一時金に相続税!?

2015年6月24日 カテゴリ: 相続, 贈与

皆さん、こんにちは。
相続・事業承継をサポートしている大田区蒲田の松島税理士事務所です。
        
「老人ホームの入居一時金」に関する注目すべき裁決事例から、入居一時金に贈与税、相続税が生じてしまうケースがあることをお話しします。

  
老人ホームに入る際に支払う入居一時金
奥様が入居する場合、奥様に支払うお金がなかったとしましょう。
その場合、通常は夫が払いますよね。

  
夫が奥様のために支払った入居一時金は、贈与となる場合非課税となる場合があります。それが、2つの裁決事例です。

   
1.平成22年11月19日採決 国税不服審判所
被相続人が配偶者のために支払った入居一時金は、生活費として通常必要と認められるものであり、贈与税の非課税財産である。(相続税法第21条の3第1項第2号)
   

2.平成23年6月10日採決 国税不服審判所
被相続人が配偶者のために支払った入居一時金は、生活費には該当せず、贈与税の非課税財産に該当しない。

  
上記2のように、贈与税の対象となった場合が問題です。
入居一時金支払後、3年以内に支払者が死亡した場合、支払者の相続税の課税価格に、入居一時金が加算されます。
   
更に、5年以内であるため、贈与税の申告もしなければなりません。(相続税申告で、納付した贈与税額は控除されますが)

   
上記1のように、贈与税の非課税財産となった場合は、相続税も贈与税も無関係です。
   

では、1と2にはどんな違いがあるのでしょうか?
   

簡単に列挙します。
   

1.贈与税の非課税となる場合

     ・入居一時金が高額ではない(裁決事例では945万)
     ・配偶者に入居一時金を支払う資産がない
     ・配偶者は高齢であり、要介護状態
     ・自宅での介護が困難
     ・老人ホームの施設は介護生活を行うための必要最低限のものである
     ・生活費に充てるために通常必要と認められるもの

   

2.贈与となる場合

     ・入居一時金が高額(裁決事例では1億3370万)
     ・老人ホームの施設が豪華で居室面積も広い
     ・社会通念上、日常生活に必要な住の費用であるとは認められない