債務は遺産分割しただけではダメ
皆さん、こんにちは。
大田区蒲田の相続・事業承継をサポートしている松島税理士事務所です。
事業を行っていますと、銀行借入金が残ったまま相続が発生することが多いでしょう。
住宅ローンは、団体信用生命保険に加入していますから、相続人に影響は及ぼしませんが、それ以外の借入金となりますとそうはいきません。
事業借入金の場合、通常は事業承継者が借入金も引き継ぎますね。
遺産分割協議においても、事業承継者が借入金を引き継ぐことになることでしょう。
しかし、いくら遺産分割協議で決定したことであり、遺産分割協議書に記載されていたとしても、債権者は、法定相続人に各法定相続分の請求をすることが出来ます。
遺産分割協議書に事業承継者が引き継ぐと記載があっても、債権者は法定相続人に当然に請求できるのです。
例えば、親子4人(父、母、子A、子B)の家庭だったとしましょう。
しかし、銀行は母に1/2、子Aに1/4、子Bに1/4ずつの借入金の返済を求めることが出来ます。
母と子Bは、子Aに求償することが出来ますが、銀行からの請求に拒否することは出来ません。
しかし、遺産分割協議において相続人間で合意があったということを銀行へ説明し、銀行の許可が得ることが出来れば、事業承継者である子Aのみが債務者となることが可能ですので、まずは話し合いということになります。
これは過去の判例においても「遺産分割の対象になる相続財産には、相続債務は含まれない」と明確にされていますので、生前中に対策をしておきましょう。
被相続人は、事業承継者が事業債務も引き継ぐのが当然と思っていることでしょう。
しかし、相続発生後に相続人間で揉めてしまう事があるのです。
相続前に債務を返済しておくのが一番ですが、多額の事業借入金ともなると、そうもいかないのが現実。
相続発生後に、相続人間で揉めないよう、生前から対策をしておくと良いと思います。