老人ホームの入居一時金に相続税!?
皆さん、こんにちは。
相続・事業承継をサポートしている大田区蒲田の松島税理士事務所です。
「老人ホームの入居一時金」に関する注目すべき裁決事例から、入居一時金に贈与税、相続税が生じてしまうケースがあることをお話しします。
老人ホームに入る際に支払う入居一時金。
奥様が入居する場合、奥様に支払うお金がなかったとしましょう。
その場合、通常は夫が払いますよね。
夫が奥様のために支払った入居一時金は、贈与となる場合と非課税となる場合があります。それが、2つの裁決事例です。
1.平成22年11月19日採決 国税不服審判所
被相続人が配偶者のために支払った入居一時金は、生活費として通常必要と認められるものであり、贈与税の非課税財産である。(相続税法第21条の3第1項第2号)
2.平成23年6月10日採決 国税不服審判所
被相続人が配偶者のために支払った入居一時金は、生活費には該当せず、贈与税の非課税財産に該当しない。
上記2のように、贈与税の対象となった場合が問題です。
入居一時金支払後、3年以内に支払者が死亡した場合、支払者の相続税の課税価格に、入居一時金が加算されます。
更に、5年以内であるため、贈与税の申告もしなければなりません。(相続税申告で、納付した贈与税額は控除されますが)
上記1のように、贈与税の非課税財産となった場合は、相続税も贈与税も無関係です。
では、1と2にはどんな違いがあるのでしょうか?
簡単に列挙します。
1.贈与税の非課税となる場合
- ・入居一時金が高額ではない(裁決事例では945万)
- ・配偶者に入居一時金を支払う資産がない
- ・配偶者は高齢であり、要介護状態
- ・自宅での介護が困難
- ・老人ホームの施設は介護生活を行うための必要最低限のものである
- ・生活費に充てるために通常必要と認められるもの
2.贈与となる場合
- ・入居一時金が高額(裁決事例では1億3370万)
- ・老人ホームの施設が豪華で居室面積も広い
- ・社会通念上、日常生活に必要な住の費用であるとは認められない