二重にかかる贈与税!?

2015年6月25日 カテゴリ: 贈与

皆さん、こんにちは。
相続・事業承継をサポートしている大田区蒲田の松島税理士事務所です。
  
   
二重にかかる贈与税!?
  
本日は、「同一のものに対して2回贈与税が発生する!?」というお話をします。
(注意:法律的には同一ではありません)
  
良くある話です。
  
父親から息子が1000万借りたとしましょう。
  
当初、息子は返済するつもりでしたが、返済出来そうにありません。
そんな息子を見兼ねた父親は、「返さなくて良いよ」と息子に言いました。
  
息子は「ラッキー。親父、ありがとう!」
こんな感じでしょう。
  
しかし、ちょっと待って下さい。
  
父親が「返さなくて良いよ」と言った時点で、これは贈与になります。
いわゆる「債務免除」ですね。(相続税法第8条)
   
息子は、(1000万-110万)×30%-90万=177万 の贈与税を払わなければなりません。(20歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた場合の税率を適用)
  
しかし、息子にはお金がありません。
仕方ないから父親が代わりに払いました。
  
はい。これも贈与ですね。
177万の贈与を息子が受けたことになります。
息子は、(177万-110万)×10%=67,000円の贈与税を払わなければなりません。
   
もし、この67,000円を息子も父親も払わなかった場合はどうなるのでしょう!?
   
息子は今、失業中でお金がまったくありません。
 
はい、連帯納付義務(相続税法第34条第4項)の発動です。
税務署は、贈与者である父親に請求してきます。
  
父親がまた払ったとしましょう。
父親は、息子に対して「求償権」が発生しますが、父親はこの「求償権」を放棄します。
はい、また債務免除で贈与ですね。(相続税法第8条)
   
法律的にはこの繰り返しになります。
  
しかし、例外もあります。
債務者が資力を喪失して債務を弁済することが困難である場合(相続税法第8条のただし書き)
  
その場合には、贈与とされないケースもあります。
   
実際は、そこまで税務署が追及するとは思えませんが、金額が大きい場合は注意が必要ですね。
  
   
<参考>
  

相続税法第八条
対価を支払わないで、又は著しく低い価額の対価で債務の免除、引受け又は第三者のためにする債務の弁済による利益を受けた場合においては、当該債務の免除引受け又は弁済があつた時において、当該債務の免除、引受け又は弁済による利益を受けた者が、当該債務の免除引受け又は弁済に係る債務の金額に相当する金額(対価の支払があつた場合には、その価額を控除した金額)を当該債務の免除、引受け又は弁済をした者から贈与(当該債務の免除、引受け又は弁済が遺言によりなされた場合には、遺贈)により取得したものとみなす。ただし、当該債務の免除、引受け又は弁済が次の各号のいずれかに該当する場合においては、その贈与又は遺贈により取得したものとみなされた金額のうちその債務を弁済することが困難である部分の金額については、この限りでない。
  
 債務者が資力を喪失して債務を弁済することが困難である場合において、当該債務の全部又は一部の免除を受けたとき。
  
 債務者が資力を喪失して債務を弁済することが困難である場合において、その債務者の扶養義務者によつて当該債務の全部又は一部の引受け又は弁済がなされたとき。

  

  

相続税法第三十四条第4項
 
 財産を贈与した者は、当該贈与により財産を取得した者の当該財産を取得した年分の贈与税額に当該財産の価額が当該贈与税の課税価格に算入された財産の価額のうちに占める割合を乗じて算出した金額として政令で定める金額に相当する贈与税について、当該財産の価額に相当する金額を限度として、連帯納付の責めに任ずる。