生前贈与・遺言

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生前贈与

生前贈与・暦年課税贈与・相続時精算課税贈与

〈暦年課税贈与〉

(特徴)

  • 年間110万円までの贈与は非課税
  • 自社株式や事業用資産の贈与を行うと、相続時に遺留分の問題が生ずる可能性があるため、遺留分のことまで考慮して生前贈与を行うことが大切です。
  • 自社株式等を、事業承継のために後継者へ一度に贈与を行うと、高額の贈与税が発生してしまうので、贈与税を回避したい場合は、他の方法を考えるべきでしょう。

(要件)

なし

〈相続時精算課税贈与〉

(特徴)

  • 一度、この贈与を行うと、その贈与者からの贈与は全て相続時精算課税贈与となり、年110万円の非課税の適用は出来なくなります。
  • 相続時精算課税贈与をした財産は、贈与者の相続時に相続財産に持ち戻されます。
    (相続財産に加算される)
  • 相続財産に持ち戻されるとはいえ、贈与されたことには変わりなく、相続時に遺留分の問題が生ずる可能性があります。
  • 一の贈与者からの贈与は、2500万円までは贈与税はかかりません。(2500万円の特別控除)
  • 特別控除2500万円を越える部分の贈与は、一律20%の贈与税がかかります。

贈与者である現オーナー社長が自社株式や事業用資産を含めても相続税が発生しない場合には、相続時精算課税制度は事業承継には有効な方法だと思います。

しかし、相続税が発生するほどの財産をお持ちの現オーナー社長の場合は、相続財産を減らすという効果は期待できませんので、相続税対策のために相続時精算課税制度を利用するのは有効ではありません。他の方法を考えるべきでしょう。

しかしながら、相続税対策よりも、生前贈与で贈与された資産を後継者が有効に使うことで得られる効果の方が大きいのであれば、相続時精算課税制度を利用するのは良いと思います。

(要件)

 

①贈与年の1月1日において下記の要件を満たすこと

  • 贈与者は、60才以上の父母または祖父母
  • 受贈者は、20才以上の推定相続人または孫

②贈与年の翌年3月15日までに「相続時精算課税選択届出書」を納税地の所轄税務所長に提出すること

遺言

後継者に自社株式と事業用資産を、非後継者にはそれ以外の財産を相続させる旨の遺言書を作成しておくことで、先代経営者の相続財産をめぐるトラブルを回避することが出来ます。

(遺言書作成の注意点)

 

1.遺言書の作成

遺言書には下記の3種類がありますが、事業承継対策として利用する場合は、公正証書遺言が確実でしょう。
公正証書遺言は、最寄りの公証役場で行うことが出来ます。

  • 自筆証書遺言
  • 公正証書遺言
  • 秘密証書遺言

 

※遺言書を作成する本人に、痴ほう症などの症状がある場合は、遺言書作成が難しくなります。
そうなる前に作成することが大切です。

※遺言書の作成前には、必ず2次相続までを考慮したシミュレーションを行ったうえで作成することをお勧めします。相続財産を大きく減額することができる小規模宅地等の特例を最大限有効に利用するためには2 次相続までを考えないとならないからです。

2.遺留分

遺留分とは、相続人に最低限の生活保障として認められている相続財産を取得する権利です。
そのため、兄弟姉妹に遺留分はありません。

① 遺留分の割合(民法第1028 条)

親や祖父母等の直系尊属のみが相続人の場合・・・法定相続分の1/3
上記以外・・・法定相続分の1/2

② 遺留分の算定基礎財産(民法第1029 条、1030 条)

 

相続財産 + 生前贈与財産 + 特別受益財産 - 債務の全額

※贈与財産は、相続時の価額により評価し直されます。

※生前贈与財産および特別受益財産については、場合によっては加算されないケース
もありますが、相続開始前1年以内の生前贈与財産は無条件に加算されます。

③ 遺留分の減殺請求(民法第1031 条)

遺言により、①の遺留分に満たない財産しか相続できなかった相続人は、他の相続人に対し「遺留分の減殺請求」を行うことが出来ます。

遺留分の減殺請求は、下記のいずれかの期間内に行わなければ時効により消滅します。

  • 相続または遺留分の侵害があったことを知った日から1年以内
  • 相続開始の日から10年以内

④ 遺留分の放棄(民法第1043 条)

先代経営者の生前に、後継者以外の相続人に「遺留分の放棄」をしてもらうことで、
後継者への事業承継を安心して行うことが出来ます。

ただし、「遺留分の放棄」は「遺留分の減殺請求」が出来なくなるというだけで、相
続財産を取得する権利はありますので、遺言等により後継者へ自社株式や事業用資産
を相続させるよう配慮が必要です。

※生前の「遺留分の放棄」は家庭裁判所で手続きしますが、相続発生後の「遺留分の
放棄」は意思表示を行うことで足ります。

事業承継で活用できる制度解説

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