個人版事業承継税制

2019年2月8日 カテゴリ: 事業承継

平成31年度 税制改正にて新たに創設された納税猶予制度です。

今までは会社の株式の贈与や相続、農地の贈与や相続時の納税猶予制度しかありませんでしたが、平成31年1月1日から平成40年12月31日までの間に行った個人の事業用資産の贈与や相続にも適用されることになりました。

事業用資産を相続または贈与を受ける相続人や受贈者は、認定支援機関が所見を記載した承継計画に記載された後継者で、都道府県庁の認定を受けた者をいいます。

事業用資産は、被相続人または贈与人が事業の用に供していた土地(面積400㎡までの部分のみ)、建物(床面積800㎡までの部分のみ)、建物以外の減価償却資産で、青色申告書に添付されている貸借対照表に計上されているものを言います。ただし、不動産貸付業は対象外です。

うまく使えば、多額の相続税や贈与税で事業承継を断念するケースも減るのではないでしょうか。

しかし、実際に利用するには注意点も必要です。

たとえば、納税猶予制度を利用する場合は、事業用宅地等に係る小規模宅地等の特例制度(相続)が利用できないという点も注意すべき事項です。

小規模宅地等の特例を利用して納税を行うのと、小規模宅地等の特例の減額制度を利用しないで納税猶予を利用するのと、どちらがベストなのか良く考える必要があります。

小規模宅地等の特例の減額制度が使えないということは、猶予される納税額が減額制度を利用するより増えるということなので、万が一要件から外れて納税することになった際の影響も考慮しなければなりません。

贈与税の納税猶予については、納税猶予の打ち切り時に精算課税制度が利用できるため2500万の非課税範囲内で収まるのであれば、贈与時には利用を考えても良いかもしれません。

このように、実際に利用する際には、十分な計画のもと実行にうつすことが重要です。